抜き書き〜選択本願念仏集
法然『選択本願念仏集』岩波文庫、1997年、53-54頁。
まさに知るべし。上(かみ)の諸行等をもつて本願とせば、往生を得るものは少なく、往生せざる者は多からむ。しかれば則ち、弥陀如来、法蔵比丘の昔、平等の慈悲に催されて、普く一切を摂せむがために、造像起塔等の諸行をもつて、往生の本願としたまわず。ただ称名念仏の一行をもつて、その本願としたまへるなり。
故に法照禅師の五会法事讃に云く、「かの仏の因中に弘誓(ぐぜい)を立てたまへり。名を聞きて我を念ぜば惣(すべ)て迎へに来たらむ。貧窮と富貴とを簡(えら)ばず、下智と高才とを簡ばず、多聞にして浄戒を持つを簡ばず、破戒にして罪根の深きをも簡ばず、ただ心を廻して多く念仏せは、よく瓦礫をして変じて金となさしめむ」と。
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